Shinya talk

     

 

2021/02/12(Fri)

私たちは予測不能な情動が巻き起こる時代の真っ只中に生きている(CATWALKより転載)


森元首相は、台湾の国父、日本にも親交があった台湾の李登輝元総統が心臓の病を患い、日本の高度な治療を受けたいとの申し出を(外務省のチャイナスクールや当時の外務大臣河野洋平などが阻止しょうとしたが)「そうではないだろう。私人が病気治療で来たい、と言っているのに、ビザを出さなかったら人権問題だ」と真っ当な考えで反対を押し切って李登輝を日本に招き入れているというような一面を持ち合わせている。

当時、河野洋平などは李登輝を危険人物などととんでもないことを言っていたと記憶する。

台湾の国父を日本に招き入れることは台湾を国家として認めることであり当然中国は猛反発した。

そしてその後、森は昨年8月の李登輝追悼式にも病を押して出席している。

森は根回し上手と言われるが、恩を受けた者にはいかなる反対があろうと返すという、そう言った人間としての基本姿勢も持っている男だ。

だから根回しも効くということだろう。


昨日のトークで「妖怪から妖怪へ」などと揶揄しがが、私個人はあの李登輝と台湾に対し、歴代首相の誰もできなかったことを実行した森元首相の浪花節的体質においては評価している。

その人情に篤い森の「女性は話が長い」との発言を見ると人格面でアンバランスなところがある。

当然、このひとことは女性を上から目線で見下す蔑視的発言であり、さらには世界のme toムーブメントにいかにも鈍感すぎ、この世界標準に鈍感というその一点においてそれは老害と言え、世界標準を遵守しなければならない日本オリンピック委員会の会長を辞して当然とすべきだろう。









だが思うにこのコロナ時代は一面、恐ろしくもある。

一年余続くコロナ禍によって日本のみならず全ての国の人々が被害者意識と不安と多大なストレスを抱えつつある。

そんな中、オリンピックという大きな事業、そして大きな体、大きな態度、つまり格好の”大きなターゲット”である森は恐ろしいほどの怒りの艦砲射撃を受け撃沈したと言えるだろう。

まさかあの委員会の講演の中で「女性は話が長い」と人の言葉を引用した冗談まぎれの一言が日本のみならず世界に怒りの竜巻を巻き起こすと、その場に居合わせた誰が想像しただろう。

おそらく船長の私がその現場に居合わせたとしても、その言葉に不快を感じ、これまでもあったように一部のマスコミで問題視されるされるかもしれないとの思いを抱いたかも知れないが、その後に世界規模の怒りの竜巻が巻き起こるとは想像できなかったはずだ。

現在の自民政権には特に安倍元首相においてだが醜悪な成功体験というものがある。


森加計問題に始まり、桜を見る会まで、彼は枚挙に遑がないがないほど不正を働いて来たのだが、マスコミや世間の批判が巻き起ころうと、それを燃えるに任せておけばいつか事態は鎮静化するということであり、森とその関係者もそのように流れを予測していつものように居座るつもりだったのではないか。


だが今回の問題が国内問題にとどまらなかったことは予想外だった。

というのは問題を起こした場所が国内行事の場ではなく国際行事に関連する場だったからだ。


それは海外に飛び火し、ついには有力スポンサーまで森の首に縄をかける動きまで出てきた。

おそらくこの決定打がなければ現政権の誰もがやって来たように森は嵐の過ぎ去るのを待っていた可能性があるだろう。

オリンピックはご承知のように巨大な利権行事でもある。

教襟や道徳でもなく、金の力が森を動かしたという意味において森の退任はただ後味が悪い。

コロナ禍で溜まった熱した心のマグマと、そう言った諸条件が重なったがゆえにこの日本に蔓延る「居座り”文化”」と呼べるものが粉砕されたわけだ。

つまり私たちは今ある意味でそのような予測不能な情動が巻き起こる時代の真っ只中に生きているということである。