Shinya talk

     

 

2020/05/08(Fri)

お隣の韓国がどのようにコロナウイルス問題に立ち向かったかのひとつの好例。(CATWALKより転載)



先日来、韓国での私の本の編集をやってくれたカン君に韓国事情を聞いているのだが、うらやましいことに今は平時のように繁華街は賑わっているそうだ。



政府は完全に手綱を緩めたわけではなく、慎重を期している部分もあるらしいが、成功という言葉は早計かも知れぬが、新型コロナウイルスを世界でいち早く攻略したと言えるわけであり、安倍政権は学ぶことは多いと思う。

だが嫌韓の彼はジェラシーを感じこそすれ韓国方式に学ぶことはないだろう。



カン君の話によると韓国でのコロナウイルス対策で有効だったのはこれは台湾にも当てはまることだがネットを有効に使ったとのことが大きいとのことだ。



つまりどこどかで感染者が出た場合、個人情報は一切伏せた形でその番号を振った感染者が何日の何時にどのような経路をたどって何をしたかという詳細情報がホストコンピューターに蓄積され、そこにアクセスすることによって自分の行動経路と照らし合わせることができる仕組みになっている。



そして感染者と自分の行動経路が重なる部分があれば直ちにPCR検査に向かうということを国民がこぞって行ったらしい。

このPCR検査も申し込めば直ちにやってくれるそうだ。

日本では37,5度以上の熱が4日以上続いてやっと保健所が申請に動く(実際には40度近い熱が4日続いても検査を受けられなかった例もある)。まるでアフリカの後進国並みだ。



韓国では国民のそのような動きが自らの感染リスク回避であるとともに集団の感染リスク回避にもなったわけだ。

韓国はアマゾンも入り込む余地がないほど早くからネットが発達し、このネットリテラシーを最大限に利用したことが今回のコロナウイルス攻略の鍵となったということである。



この日本ではどこどこの地区に何パーセントの人出があったということを携帯情報から集めているとのことだが、それくらい個人所有の携帯の位置が把握できるわけだから韓国方式を取り入れることは可能だったのではないか。

だがコロナウイルス問題にネットを駆使したというようなことはついぞ聞かない。

毎日膨大なコロナ情報を流しているマスコミもまたお隣韓国のコロナウイルス対策がそのように取られていたということを報道されたのを私の知る限り聞いたことがない。

政府のみならずメディアもまた韓国に触れることに無意識にバイアスがかかっているのではないか。



カン君はもと早稲田の学生として日本に留学しており、最初に電話をかけた時、コロナウイルスでの韓国の人々の心情を尋ねたところ以下のメールが返ってきた。

個人的なやりとりであり、日本語で表現するのにハンディがあっただろうが快諾してくれたので以下に掲載する。











藤原新也様

今日は久しぶりに通話できまして、嬉しかったです。

電話してくださって、ありがとうございます。

僕は日ごろネット経由で、日本の新聞記事やニュースには耳を向けていますが、最近のようにがっかりしたことはありませんでした。

阿部政権でやっていることはよそ者の僕が見てもひどいことばかりで、日本の国民は本当におとなしいな、と思うだけです。

もし韓国だったらほとんどの人が政権に立ち向かうのでしょうね。

僕が早稲田にいた頃の日本社会は今よりもずっと寛容と教養があったような気がします。いち早く日本が僕が知っている社会に戻ってほしいと願っています。

さて、今回のコロナウイルスは韓国社会、韓国人にどういう影響を与えたのか、という話ですが、

韓国でもコロナ事態が終わったわけではありませんから、今後も様子を見てみないといけませんが、韓国人の思考と生活に大きなショックを与えたに違いありません。



思い付きで書いてみます。



私は以前国あるいは政府は何なのか、その存在に疑問を抱いていましたが、こういう非常状態になると政府はの大変重要な役割を果たす機関だな、ということで、その存在理由を認めざるを得なくなりました。

私の周りには税金を納めている理由が初めて分かった、と言っている人もいます。

それは政府のやり方に国民が納得した、ということですね。

わかりやすい政策方針を決め、國民を優先する速やかな対処すすめ、透明に情報を公開するといった常識がリーダーシップの源泉であるということか、と思います。韓国人はもう少し自負心が高くなったのではないでしょいうか。



だといっても一般国民の生活はかなりダメージを受けています。

特に社会の弱者と言われてきた人には大きな影響を与えています。

厭世主義的な考え方も流行っています。

階層間の葛藤も見えます。

その中でも、当分は家賃を半分にします、という大家さんが出てきて、話題になりました。



会社中心の考え方は間違っている、と多くが人々が気付きました。

経営合理化を理由に非正規雇用を認めてきたのは間違いだったとわかったのでしょう。



また、家族の大事さを改めて悟った、という傾向もあるようです。

会社人間がいきなり家族人間に変貌するパターンですね。

韓国では封鎖はなかったですが、それでも飲み会がなくなり、家族と過ごす時間は増えたのは確かです。



それ以外にもいろいろなことがありそうな気がします。

周りの人とも意見を交換してみます。

今日は眠いので、これで失礼します。



すみません、また、改めて、ご連絡申し上げます。



かん





注・カン君はいつも体制批判的なところがあり、今回のように政府を褒めたのには私自身驚いた。

それくらい韓国政府は今回のコロナウイルス問題にうまく立ち向かったということだろう。



追記

英BBC(電子版)は4月30日、PCR検査について「日本の検査数の少なさは疑問だ」と題する記事を掲載。日本の感染者数は28万〜70万人におよぶという試算を紹介しながら「日本は検査数を増やさないと、パンデミックの終結はかなり困難」という専門家の厳しい見方を取り上げた。

https://news.livedoor.com/article/detail/18227955/