「フリージャーナリストっていうのは現地へ行って記事を書いて、それを出版社に売って儲けるわけでしょ?戦場カメラマンと同じで、危険を冒してもいい写真を撮りたいわけじゃん。仕事のために危険を冒すのはリスクだから、それに政府がお金を出したのかどうかはわからないけど…どうなんだろうね」
ビートたけしの時代感覚がここまでずれているとは思わなかった。
60年前のベトナム戦争時じゃあるまいし、今どきジャーナリストが戦場に行って本を書き、それで”儲ける”というようなノーテンキな話はありえない。
写真もしかりである。
ピューリッツァー賞なんてすでに有名無実。
アメリカと同じく自国主義で内向化したこの日本では他国の戦場でネタを拾ってきてもテレビも雑誌も興味を示さず、ジリ貧の出版社は出版さえためらう時代なのである。
かりに出版に漕ぎつけてもせいぜい初版3、000部の世界であり、つまり数年の働きの結果が印税45万円。
再版ナシが普通。
これでは莫大な取材費の足しにもならない。
年収20億、3億のブガッティシロンを乗り回すのはまことにご立派の限りだが、自分の狂った金銭感覚を地を這うようにして生きているジャーナリストにまで押しつけるのはよした方がいい。