トランプとキムジョンウンの会談場所がシンガポールに決まるまで、水面下で双方の間で行われた熾烈な争いや綱引きはブラックボックスの中の出来事であり、誰もが推測でものを言うしかないわけである。
この耳にタコができるほどの推測の論調は、それはあくまで推測であるわけだから聞くたびに逆にストレスが溜まると言うことになる。
しかしこの事は私の知る限りあまり誰もが言及していないことのように思うが、この水面下の交渉においてトランプがどのように北朝鮮にプレッシャーをかけたかという事は、ある出来事によって既に答えが出ているように思うのである。
それはトランプの突然の地球温暖化国際会議離脱に似た、これまた突然のイランとの核合意破棄である。
この一件は北朝鮮から遠く離れた中近東での出来事だから、それとこれとを結びつけて考える思考が働かなかったとも言えるが、私はこのイランと欧米諸国の間で交わされた核合意からのアメリカの離脱宣言は、アンダーテーブルにおけるアメリカと北朝鮮の綱引きと密接に関係があると思っている。
ご承知のように欧米諸国とイランとの間に交わされた核合意は、経済制裁の段階的解除と引き換えに、今現在、核爆弾を作るのに1年は要するイランの核施設を段階的に閉鎖するというものである。
それまで欧州と足並みを揃えこのイランの核施設の段階的閉鎖に合意していたアメリカが唐突に離脱したと言う事は、北朝鮮とアメリカが水面下においてどのようなやりとりがなされていたかを知る上の重要なヒントになると言えるだろう。
つまりトランプは北朝鮮に対し全面降伏、つまり核弾頭及び核施設の即時破棄を求めたのではないか。
これはあのトランプの強引な自分ファースト的性格からしても容易に想像できることだ。
仮にトランプとキムジョンウンがシンガポールにおいて角突き合わせ、熾烈な交渉に入った場合、全く同じケーススタディーであるイランの核問題を北朝鮮側が俎上に載せる事は容易に想像できることである。
つまりイランとアメリカの間では各施設の段階的閉鎖と経済制裁の解除が等価交換されているにもかかわらず、アメリカと北朝鮮でそれができないのは矛盾しているとのツッコミが必ずや出てくるはずなのである。
夫の不倫を理由に離婚調停に持ち込んだ妻の不倫が夫からツッコミを入れられ、調停不成立に終わる事はよくあることらしいが、それと同じことである。
アメリカは会談の前に交渉が不利になるこの根本的矛盾を払拭しておく必要があったわけだ。
トランプが北朝鮮との交渉の最中、突然アサッテの方向向いてイランに向けて弾を撃った一件は、唐突のように見えそれなりの確固とした理由があったと言うことだろう。
付け加えるならこのトランプの行動はイランに対し即時核施設の閉鎖を求めるイスラエルの意思にもかなっており、トランプの大嫌いなオバマの政策の全面否定と言うお土産もついているわけである。
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