昨今日本においてはとくに若者を中心に「気持ちよくなりたい症候群」が蔓延しており、サッカーワールドカップの第一戦格上のコロンビアに勝ちでもしたら、この宿病が爆発するとともに、ひごろの鬱憤のガス抜きにもなり、ますます若者の政治離れに拍車がかかるだろうと、懸念していたらヘンな奇跡が起こり勝ってしまった。
ワールドワイドにものを見ている船長としては前にも言ったように自国のみを応援するというスタンスはなく、今回は日本はこの日本独特の311以降の現象である「気持ちよくなりたい症候群」にカツを入れる意味においても負けた方がよいと思っていたが、勝ってしまい、日本国中に脳内から溢れ出たアドレナリンがドロドロと垂れ流れ、足の踏み場もない状況だ。
ただし日本がコロンビアに勝って喜んでいるのは、そういった罪もない一般市民のみではなく、例の加計学園の加計孝太郎だろう。
加計問題の当事者であるこの男は長らく野党に証人喚問の要求をされており、その間ずっと逃げまくって雲隠れしていたと思ったら、学園の開園式にはさすがに欠席するわけにはいかず、開園式では講堂の壇上で権威付けのために悪相の今治市長管良二とともに時代錯誤的なアカデミックドレスにトレンチャーキャップ(例のカトリック聖職者発祥の四角い帽子)を身に付け、まるで猿がアカデミックドレスを身につけている漫画のような様相を呈していたが、昨日唐突に会見を開いた。
いや唐突というのはその会見を受け取る側であり、加計はそういう姑息なタイミングを謀っていたわけである。
つまりワールドカップの日本第一戦で世間が燃え上がるのを見越して、ホテルの宴会場などの堂々とした場所ではなく、園内の一室でコソコソと突然会見を開き「会見を開いた」という既成事実を作るという挙に出たわけである。
https://www.youtube.com/watch?v=8svqxB6rU7c本来ならワールドカップの第一戦が終わった直後に会見を開く方がスピンコントロールとしては効果的なわけだが、彼が会見を早めたのはおそらく大阪震災で世間が騒然としはじめたからだろう。
大阪震災とワールドカップの第一戦の混乱と騒ぎは彼が会見を開き「報道されない」恰好の日だったわけだ。
しかも加計はその会見の発表を会見の2時間前にとつぜん発表するという姑息な操作をしている。
つまりそれは時間的にも中央のメディアは参加できず、地元のメディアしか参加できないということを示している。
案の定会見の席では地元のメディアがお花畑的質問をして終わりという思うつぼの結果である。
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だが世間が許してはならないのは、ワールドカップをスピンコントロールに使うならまだしも、彼の一連のこの挙動が大阪震災という他者の不幸を踏み台にしているということだ。
ご承知のようにこの震災では8歳のいたいけな少女がブロック塀の下敷きとなり世間の涙を誘った。
そういった痛ましい災害をこれ幸いと踏み台にし、逃げの会見を打ったことはまるで火事場泥棒さながらである。
私は311の大震災の現場で、この他人の不幸な災害をこれ幸いに金品を盗みまくっている光景を目にしたが、有り体に言えば今回の加計の行動はそれと大差はないということだ。
案の定、加計の目論見は当たり、震災とワールドカップ騒ぎで彼の会見は影も形もない。
日本がコロンビアに勝って喜んでいるのは、一般市民のみではなく、加計孝太郎というのはそういう意味である。